Kiss me deadly     07.01.24 07.03.23掲載




ボスのキスはいつも熱くて容赦がない。
唇を舐めて、舌を吸われて甘噛まれて。
煙草の芳りと髄まで痺れそうな甘さ。
囚われたら逃げられない。


Kiss me deadly
XANXUS×Squalo


背を落とされたのは柔らかに沈むキングサイズのベッドの上だ。
暖房を入れずにいた部屋は冷えていて、シーツがひやりと肌を責める。
触れ合った唇だけが、ひどく熱い。

「…ッン……ボ…ス、」

はぁ、と湿った吐息は部屋の空気に白く溶けて、触れる舌先が新たな快楽を運んでくる。
耳の裏を指で擽られながら、逃がす舌を執拗に追われて求められた。
申し訳程度に押し返す手は、何の意味も持ってはいない。
やがてゆるりと捕えられ、シーツの上に縫いとめられた。

「……ッ、ふ、ぅ……」

酸素ごと奪われそうな、深い口付け。
白く並ぶ歯のひとつひとつにまで、まるで神経が通うよう。
なぶられる口内と、反して緩い指先の愛撫。
温度差に、頭がおかしくなりそうだ。

閉じた瞼の裏、ちかちかと光るのは幻だろうか。
神経が高ぶり過ぎているのかもしれない。
あるいは、いよいよ酸素が足りないのかも。

「…ッァ…!」

冷えた指先が鎖骨を撫でて、爪を立てる。
甘やかな痺れが広がるようで、伸ばした舌先を触れ合わせたままで喘いだ。
それにふと空気を緩めた様子のザンザスが、スクアーロの伸ばした舌を甘噛む。
スクアーロの好きなキスだ。

舌は味覚を支配するから、とびきり敏感であるらしい。
苦痛を必要以上に感じ、その逆、甘く緩やかな愛撫には弱いのだ。

それを抜いたって、ザンザスのくれるキスはいつも、ひどく甘くて気持ちがいい。
どんなに気を張っていても、ゆっくりと解かれ、ついには力が抜けてしまう。
そうして抵抗ひとつ出来なくなったスクアーロを、ザンザスは好きに抱くのだった。

「あ…ァ、ボス」

ちゅ、と濡れた音が鼓膜を支配して、まるで既に犯されているよう。
もどかしくてむずがゆい、物足りなさ。
知っていながら指は遊ぶばかりで進まないし、唇は変わらず意地が悪い。
溶けてしまいそうな快楽を与えておきながら、最後までは行き着かない。

堕ちていきそうだと、そう思う先はどこか。
ただただ甘い毒の夢か、あるいはそれを与える男の腕の中か。
どちらにしろ、もたらされるものはさして変わらない。
支配される、紅い色に染められる心地好さだ。

「ザン、ザス」

何が欲しいのかわからないまま、スクアーロは先を求めて手を伸ばした。

next.



07.01.24 07.03.23掲載
07.01.24〜07.02.06 WEB拍手掲載