<もっかいチューしとく? 08.08.19> REBORN! ベルフェゴール+マーモン 夢の中にいる赤ん坊はあまりに無防備だ。 いつもは深くフードを被って、革の制服を着込んで、隙なんか見せやしないくせに。 ソファの上に寝転んで、触り心地の良さそうなまるいほっぺたを全開にしてすやすやと寝息をたてている。 頭の上のカエルも同じく夢の中だ。 向かいのソファで大人しく読書をしていたベルフェゴールは、そんなマーモンの姿についちらちらと視線を奪われる。 普段は憎まれ口を叩く唇も今はきゅっと閉じられて、時折鼻が詰まるのか、小さく開いて呼吸するばかり。 そのままころりと寝返りをうてば、ソファの端、落ちそうで落ちない危うい場所でとどまった。 落ちたところで毛足の長い絨毯に包まれて痛みはないだろうが、眠りを妨げてしまうのは忍びない。 仕方がないなと溜め息をつきつつ口元を弛ませ、ベルフェゴールは本を置いた。 両手で抱き上げれば、慣れた重みが腕にかかる。 むろん、赤ん坊の体重は感じないに等しかったが。 起きていれば抱き上げるのにも逐一文句やら抵抗やらがつくのだが、眠っている今は大人しいものだ。 「しし、いつもこうだといいのにな」 可愛げあって。 ベルフェゴールから見れば憎まれ口も可愛いものだが、たまには素直なマーモンも見たいらしい。 続けた己の台詞にもう一度笑ったところで、つい持ち前の悪戯ごころが働いた。 ふっくらとした、ほんのり紅のさす柔らかな頬に、ちゅ、と音をたてて口づける。 ぷに、と触れた頬の心地良さに、ついすりすりと額をすりつければ、ム、と小さな声がした。 「あれ、起こした?」 「………ベル…?」 抱き上げられた状況を把握できていないあたり、まだ寝惚けているらしい。 その様子もいつになく可愛くて、からかってしまうのは悪い癖だ。 「なぁマーモン、もっかいチューしとく?」 笑って言えば、小さなもみじ型が頬を彩った。 fin.
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