Poker Face - side A -      10.09.03 10.09.14掲載




「……なんだよい」
「んー……」

ぺたりと、寝転がったマルコの汗ばんだ胸もと、その刺青にエースが手を這わせた。
一番隊隊長の権力というものを最大限にかざして、他の家族が誰一人泊まることを許されなかった上宿の、そのまた最上階の一室である。
久しぶりの上陸で盛り上がるなという方が無理な話だ。
ついつい求めだしたら止まらなくなって、散々互いを貪った。
何度その熱を分け合っただろう、甘く気だるい疲労が全身を包むころにようやく身体を離し、けれど名残惜しくその唇を啄ばむころ。
先ほどまでその肌と肌とを重ね合っていたというのに、頬を上気させたままで不満そうな表情を浮かべるエースにマルコの眉が寄る。
まさか足りないとでも言うんじゃないだろうなと、マルコがそんな下世話なことを考えたときだ。

「……ずりいなあ、オヤジ」
「あァ……?」

ぽつりと呟いたエースが、そのままマルコの刺青を指先でなぞる。
エースと出会うよりもずっとずっと昔から、マルコの胸に大きく刻まれた誇りだ。
慰撫するように、尊ぶように、無骨なエースの指先がその形を確かめた。

「おい、」
「……おれもさ。オヤジとおんなじの、背負ってるけど」
「………」
「マルコのこれ、たまにすっげえ、悔しくなる」
「エー、」

あんたはおれのもんなのに。

マルコがエースの名前を呼ぶよりも早く、そう口にしたかと思うと。
エースはマルコの胸に顔を近づけ、その刺青に口づけて―――…、それから、がぶりと齧りつくように噛みついた。

「ッ……」

唐突なそれに、マルコがぴくりと片目を細めてその痛みをやり過ごす。
血が滲むほど強く歯を立てたエースは、その刺青の一部が赤色を滲ませたことに満足したのか、ちろりと舌を這わせてよこした。
その舌がゆっくりと炎へと姿を変え、再生するマルコの炎と混じって色を変える。
薄暗闇にぼうっと紫色の炎が灯る様は、なんだか秘密めいた儀式のようだ。

すっかりと傷ひとつ残さず再生したマルコの胸の刺青に、けれどもう、エースの表情に不満はない。
満足そうな溜息をひとつついてマルコを見上げるその瞳に、はあ、と苛立たしげな短い溜息をマルコは聞かせた。

「いって、ばかマルコ……ッ」

どさりと再びシーツに背を沈められて、ぎりと手首を掴まれたエースが形ばかりの抗議をする。
反して愉しそうに細められた悪戯猫のようなエースの黒い瞳に、マルコは舌打ちを隠さない。
いささか乱暴に口づけてやっても、エースは機嫌が良さそうに喉を鳴らすばかりだ。

(まったく、どうしようもねェほど性質の悪いクソガキだよい)

今度はこの男の背で笑う髑髏に自分が歯を立ててやろうかと、そんな悪戯を思いついたのは、
絡まる舌にすっかりほだされるころだった。


fin.



とゆわけでついったで呟いた刺青に嫉妬するまるえー萌えー!を突発的に。
なんか30分くらいで書いてるからひどいダイジェスト(笑)
わーんマルエー萌えー!!

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