「Buenos dias!」 マルエーサイド(部屋の中)編。 R-18ですので18歳未満(高校生含)の方はご遠慮ください。 マルコがおっさん臭くてねちっこいのは苦手だという方もご遠慮ください。 ぎしりと身体を預けたベッドが軋む。 背中の誇りに愛しげに口付ける男の指先は、知り尽くしたエースの身体を好きに這って遊んでいた。 腹筋を辿り、尖った乳首をきゅ、と摘まんでは親指で優しく転がす。 男の手管にいちいち反応してしまうのは悔しいことこのうえないが、仕方ない、全部教えられたのだから。 「ッあ、マルコ……!」 わざとらしく音を立てて吸われた肌には、きっと赤い痕が残った。 上裸でいることの多いエースは常々痕を残すなと言っているのだが、男はお構いなしらしい。 それでなくともこのところは小競り合いが多かったせいで、碌に肌を重ねる余裕もなかった。 戦闘自体はもちろん大したことはないのだが、隊長格ともなればその後の処理も引き受けなければならない。 戦利品の管理から海軍への情報操作だとか、揉み消しだとか、多岐に渡る。 一番隊隊長の立場では、喧嘩の後こそが最も面倒な時間だった。 久しぶりの陸地でも、一同揃っての宴の後は自分の部屋に籠りきりだ。 唇を尖らすエースに三日もあれば終わるからとキスをひとつくれたきり、触れ合うどころか顔を見ることさえ難しかった。 いつもなら一番に船を降りていくエースがどこか不満そうに船に残っていたのを、連れ出したのは四番隊の隊長である。 エースとマルコの関係を知っている男は、殊更エースを弟として可愛がってくれる一人でもあった。 エースが好きそうな店へ連れて行ったり、酒の肴には美味くないだろう愚痴を聞いてくれたり、時にちょっかいをかけて赤やら青やらの炎でこんがりと焦がされたり。 何度やっても懲りないのが玉に瑕だが、気の良い男だ。 伊達にこの白ひげ海賊団に長く在籍するわけでも、あのマルコの悪友をやっているわけでもない。 甘える方がそうと気づかないまま甘えさせるのが上手い男だった。 そんな男と二日ばかりをともに過ごし、島に着いて四度目の日暮れを迎えるころ。 マルコを手伝っていたジョズとばったり街中で出くわしたのを合図にでもしたように、エースは一目散に船へと戻ったのだった。 「まったく、犬っころみてェだなァあいつは」 「船に乗った頃は野良猫みたいだったけどな」 「はは、言えてら。で、ジョズ、マルコは船にいるんだろうな」 「ああ。相変わらず部屋に籠ったままだが、一通りの書類は整理がついたはずだ」 「そりゃあ良かった。ま、今夜は船へは戻らねェ方が良さそうだなァ」 「……美味い店見つけてあるのか、サッチ」 「もちろん。行こうぜジョズ」 遠く小さくなっていくエースの背を見つめながら、隊長二人、そんな会話がされていたことを、エースはちっとも知らないでいる。 * * * 汗の浮いたうなじをいやらしく舐められて、エースの肩がぶるりと震えた。 がっちりと抑え込まれて開かされた脚の間、露わな尻の狭間には先ほどからマルコのペニスが擦りつけられている。 意思に反してひくひくと疼く後孔にはとっくに気づいているだろうに、欲しがるそこに与えてくれる様子はない。 ぬるぬるとぬめる熱だけに煽られて、もうどうにかなってしまいそうだ。 たまらず自らの熱に片手を伸ばせば、意地の悪い男の手に遮られた。 「っや、だ、マルコ……!」 きつい、と涙混じりに訴える。 緩い快感に耐えられず上体をベッドにうつ伏せたエースは、シーツに頬を擦りつけながら懇願した。 肩越しに振り返れば滲んだ視界には唇の端を持ち上げた愛しい男の姿だ。 灯りを落とした室内は、けれどゆらゆらと揺れるランタンの灯に照らされてその表情がよく見える。 ぺろりと小さく舐めずられた舌に、エースの背をぞくりとなにかが這い上がった。 「エース。言えるだろい、ほら」 「ッん、んん、ア……!」 言ってたまるか、と唇を閉じるのに、ふいに先端を浅く埋められて呆気なく開いた。 きつく眼を閉じた瞬間、溜まっていた涙がぽろりと零れて頬を落ちる。 すると一度だけ、マルコのペニスが奥まで突き入れられた。 「ッ、あァ……!」 珍しくねだる前にくれるのかと思えば、最奥まで貫いた後、またすぐに引き抜かれてしまう。 そうして再び、入口にだけ執拗に擦りつけられるのだ。 一度与えられてしまった熱を欲して、エースの内壁がずくずくと疼く。 すっかり屹立したエースのペニスは、張り詰め過ぎて先端が痛いくらいだ。 慰めようにも片手はマルコに拘束されたままで、上体が崩折れてしまった今ではもう一方の手を伸ばすこともできない。 ……全部、マルコの計算のうえだ。 悔しい、と唇を噛む余裕も今はもうない。逃げ道はひとつだけ。 耐えられなくなるのはいつだって、エースが先だ。 「ふ、ッ、欲しい、マル……ッああ、ア!」 言い終わるか、終わらないか。 けれど耐えきれなくなる寸前の、絶妙のタイミングで与えられた熱にエースの意識が白く焼ける。 一息に奥まで犯された後、間を空けずに揺さぶられてされるがままにエースは泣いた。 「ッあぅ、ひ、ッん、ああッ」 獣の体勢で繋がるのは、ひどく背徳感を煽る。 いつものように抱きかかえられるでもない、肌と肌とが合わさるでもない、いやらしく蕩けた粘膜と、体内を穿つ硬い熱だけがリアルだからかもしれない。 エースの理性など早々に剥ぎ取られて、全部マルコの好きにされてしまう。 痛いほど掴まれた腰骨と、鼓膜を犯す卑猥な音。 マルコが見えないから不安さえ覚えるけれど、皮肉にもエースの弱いところまで簡単に拡げられてしまう。 船番以外はすっかり船を降りてしまっていて、上がる声を憚る必要なんてない、ないはず、だけれど。 それでも勝手に溢れてしまう嬌声に、エースはただ翻弄された。 その様子に気づいているのかいないのか、きっと知らないふりをしているだけの悪い男。 ぐぐ、と上体を倒して再びエースの誇りに口付けたマルコが薄く笑う。 その視線が一瞬だけちらりとドアの方を向いたことを、エースは知らない。 マルコが体勢を変えたことでまた深くを犯されたエースは、声にならない声を上げた。 「――……ッァ、あ……っ」 「声。あんまり出さねェ方がいいんじゃねェかい」 「んっ……、何、」 「明日、喉痛ェって騒ぐのおまえだろい」 「ば……っ、か、ッあ、ア!」 わかってるなら加減しろと、そう思うのに、加減などしないでほしいのが素直なところだ。 いつだって余裕綽々の年上の男をどうやって留めておけばいいのかエースにはわからない。 実際はマルコの余裕だって見せかけ程度のものだが、まだ年若いエースはそれを知らない。 ただ欲しがって、欲しがられて、それだけで今は安心できる。 棄てられるのが怖い、とは言わない。そんなのはエースのスタンスではないからだ。 どうやっても余裕を剥がすことのできない男が、ただただエースを求めてくれる、この時間。 思考の回路はすでにぐちゃぐちゃで、過ぎる快感に焼き切れそうで、あまり難しいことは考えられない。 けれど、ひどく満たされることだけはわかるのだ。 マルコ、と。 声にしたはずの愛しい名前は、たぶん、もう掠れていた。 マルコの耳に、ばたばたと慌ただしく駆けて行く足音が聞こえる。 それでも悦楽に浮かされたエースが気づかない程度には消された足音だ。 先ほどドアの向こうに感じた、その気配にはよくよく覚えがあった。 恐らくはマルコを残して遊んでいるのを申し訳なく感じた部下が、船に戻ってきたのだろう。 可愛いことをしてくれるが、実にタイミングが悪かった。 明日の食堂はきっと、くだらない噂で持ち切りだろう。 現在のところ、マルコとエースの関係を知っているのは白ひげと隊長連中くらいのものだ。 まさか今しがた甘い声で鳴いていたのがエースだとは思いもしないことだろう。 部下に盗み聞きされたなどといらぬことをエースの耳に入れてやる必要はないが、あらぬ噂を立てられて関係がこじれるのは面倒臭い。 拗ねたエースは可愛いが、いつだって笑っていてほしいのが本音である。 (さて、どうしてくれようかねぃ) 意識の飛びかけたエースにゆるりと口付けた後、人の悪い男は小さくほくそ笑んだ。 fin.
今日もマルエーの日、ということで。 間に合ってよかった! << Back